こんにちは。
心理カウンセラーの矢菅まゆです。
日々職場で働く中で
「こうしてほしい」
「これはちょっと困る」
と感じたとき
「それを言うのはわがままかな」
と自分の意見や気持ちを
飲み込んでしまうことはありませんか。
でも、意見や気持ちを伝えることは、
状況を良くするためだけのものではなく、
“今の自分が何に苦しんでいるのか”を
知れる行動でもあります。
うまくいくときも、いかないときも――
そのどちらにも、
気づきの種が隠れているのです。
「言ってみてもダメだった」経験の意味
私は前職のとき、
「これを言ったらわがままかな」
と迷いながらも、
勇気を出して伝えたことがあります。
それは勤務シフトのことでした。
当時、
妊活を始めて間もない時期。
私のシフトは週ごとに早番と遅番が入れ替わる
勤務体制で、遅番の定時は22時。
遅番の週の帰宅はいつも23時を過ぎていました。
夫の勤務形態が変わったことも重なり、
このままでは妊活もままならないと、絶望。
その頃社内には、
子育て中の男性社員で遅番を
外してもらっている人もいて、
「私もそうしてほしい」と思いました。
けれど当時の私は、
まだ子どもがいるわけでもなく、
妊娠しているわけでもない、
ただの既婚女性社員。
そんな自分がお願いするのは、
わがままなんじゃないかと思ったのです。
それでも、
このまま働き続けられないと、
思い切って上司に状況を説明して
「遅番のシフトを外してほしい」
とお願いしました。
幸い、希望は通り
シフトは変えてもらえました。
けれど、
実際に働いてみると、
しんどさはあまり変わりませんでした。
早番だけになっても、
業務量は相変わらず多く、
結局仕事が終わらずに残業してしまう日々。
遅番の社員は22時まで働いているので、
自分もついつい残って
仕事をしてしまっていました。
帰宅時間は少し早くなったものの、
心身の疲れはほとんど変わらず、
妊活との両立も正直厳しいままでした。
いや、
遅番のシフトを外してもらったのに
こんなにしんどいのかと、
心の疲れは余計に増していました。
このとき、
私は気づいたのです。
問題は
“夜遅い時間のシフトに入ること”ではなく、
“この会社における
キャリアアドバイザーという仕事の
そもそもの業務量・職場環境”と、
“結局ここにいたら、
自分が頑張り続けてしまうこと”
にあったのだと。
つまり、
勤務シフトを変えることは表面的な解決にすぎず、
根本には
「この職場にいる限り、
私はまた頑張りすぎてしまう」
という私自身のパターンが隠れていたのです。
伝えることで状況が良くなるとは限らない。
でも、伝えたからこそ、
“自分が何に苦しんでいたのか”
が見えてくる。
それがこの経験から得た、
私にとっての大きな気づきでした。
「わがまま」と思っている時点で、もう十分に優しい
「自分の意見や気持ちを言うのは苦手」
と感じる人の多くは、
実はとても優しい人です。
自分の意見や気持ちを伝えようとすると
「私のせいで迷惑をかけてごめんなさい」
という罪悪感が湧いてしまう。
そう思う気持ちが強いからこそ、
言いたいことがあっても
ためらってしまうのです。
また、
過去に「わがままかもしれない」
と思いながらも自分の意見を伝えた際に
状況が良くならなかった経験があると、
「やっぱり自分の意見や希望を
伝えるのはわがままなんだ」
「どうせ言ってもムダ……」
と感じてしまいやすくなります。
けれど、
「申し訳ない」「迷惑をかけたくない」
と思うことは、
決して悪いものではありません。
それは、
他人を思いやることができる優しさの裏返し。
だから、
自分の意見や気持ちを伝えるのは
わがままなのかなと思ってしまう人は
「私は優しすぎるくらい、
これまで周りを大切にしていたんだな」
と思ってみてもいいのです。
「伝える」は、自分の本当の望みを知るためにある
伝えるという行為は、
相手を動かすための手段ではなく、
“自分の本当の望みを
理解するための行動”でもあります。
言ってみて状況が
良くなることもあれば、
変わらないことも、
ときには悪化することもあり得ます。
でも、
そのどんな結果にも意味があります。
なぜなら、そこには
「自分は何に苦しんでいたのか」
「本当は何を望んでいたのか」
に関するヒントが隠れているから。
一度伝えてうまくいかなかったとしても、
その経験は
「自分は本当は何を望んでいたのか」
を教えてくれます。
そうやって少しずつ、
自分の本音と出会っていけるのです。
カウンセリングでは、
そうした“気づきのプロセス”を
安全な場で一緒に
たどっていくことができます。
「わがままかもしれない」
と思う気持ちの奥にある、
あなたの本当の望みを、
少しずつ言葉にしていくことができるのです。
「わがままかも」と思う気持ちは、
優しさの証です。
それだけあなたが、
相手や周りの人を
大切にしてきたということ。
けれどその優しさを、
自分にも向けてみてほしいのです。
うまくいかなかった経験や、
なかなか人に意見や気持ちを言えない自分を
責めなくて大丈夫。
うまくいくときも、いかないときも――
「伝える」という行為は、
あなたが自分を知っていくための
小さな一歩になるのです。
もし、
「ちょっと勇気がいるけれど、
自分を知っていくために
私の気持ちを話してみようかな……」
と思っていただけたのならーー。
その思いを丁寧に見つめる時間を、
一緒に持てたらうれしいです。
良かったら、
お話を聞かせてくださいね。
あなたのこれからのキャリアを、
人生を、
心から応援しています。
心理カウンセラー
矢菅まゆ
