こんにちは。
心理カウンセラーの矢菅まゆです。
人から
「ちゃんとしてるね」
「しっかりしてるね」
と言われることが多い。
でも、
そんなふうに「ちゃんとやってきた」人ほど、
ふとした瞬間に思うことがあります。
「頑張ってきたけど、満たされない。」
「このままでいいのかな。」
それは、
怠けているからではありません。
“外側の期待”に応えることを最優先にしてきた結果、
“自分の心の声”が聞こえづらくなっているだけなのです。
「ちゃんとできる人」ほど、“期待に応える回路”が強化される
「ちゃんとしてる人」は、
どんな環境でも信頼されます。
その信頼を裏切りたくなくて、
さらに丁寧に仕事を重ねていく──。
そんな循環の中で、
自然と“期待に応える力”が磨かれていきます。
ただその一方で、
私たちはいつの間にか、
「どう思われるか」
「どう評価されるか」を基準に
行動を決めるようになっていきます。
・自分の感情より、相手の反応を優先する
・「やりたいかどうか」より
「会社として・社員として正しいかどうか」で判断する
・違和感があっても「これくらい大丈夫」と流す
こうして、
“感じるより先に動く”ことが習慣になっていきます。
実際、
そうすることが必要な場面も
たくさんあるでしょう。
けれど、
外側の期待に応えることが
あまりにも当たり前になると、
自分の内側で何を感じているのか──
その「自分の心の声」を
聴きとる力が少しずつ鈍っていくのです。
そうなると、
仕事も人間関係も
「こなせてはいるけれど、心が動かない」
という感覚が少しずつ増えていきます。
気づけば、
頑張っているのに満たされない──
そんな違和感が顔を出すようになるのです。
次の章では、
その“満たされなさ”の正体について、
もう少し深く見ていきます。
感情を置き去りにして働くと、いつか“満たされなさ”がやってくる
“やりがいがあるけど疲れる”という違和感
真面目で責任感が強い人ほど、
「任されたからにはやり遂げたい」
「期待に応えたい」
と思って頑張ります。
その積み重ねで信頼を得て、
キャリアも築いてきた。
けれど、
ふと気づくと、
成果を出しても感謝されても、
喜びを感じられない──。
それは、
頑張る中で「自分の感情を感じる余白」が
少しずつ削られてきたサインなのです。
感情を“切る”ことでやってこられた時間
感じることを止めたのは、
怠けでも無関心でもありません。
「そうしないと前に進めなかった」からです。
悲しみを感じていたら仕事にならなかったり、
不満を覚えたら関係が壊れそうで怖かったり。
だからこそ、
“感じること”を後回しにして、
「考える」「動く」「成果を出す」方へ
自分を切り替えてきた。
それは一種の防御反応であり、
「自分を守るための知恵」でもあったのです。
感情を感じないままでは、満足もまた感じにくくなる
心は、
嫌な感情だけを
シャットアウトすることはできません。
悲しみや怒りを感じないようにしていると、
同時に「喜び」や「安心」も
感じづらくなっていきます。
こうして少しずつ“感じる力”がすり減り、
いわば、
感情が摩耗した状態になっていくのです。
表面的には問題なく働くことができていても、
内側では、
心の温度が少しずつ下がっていきます。
「感じられない自分」を責めなくていい
この状態を「私は心が鈍いのかな」
と責める必要はありません。
それは、
誠実に頑張って生きてきた証拠。
人は、
無理をし続けると自然と
“麻痺”するようにできています。
「感じないようにしてきた自分」は、
決して間違っていません。
けれど、
あなたが今
「頑張ってきたけど、満たされない。」
「このままでいいのかな。」
という苦しさを抱えていて、
その苦しさを何とかしたいと
思っているのであれば。
これからは少しずつ感じる力を
取り戻していくことが大切です。
次の章では、
そのために具体的にできることを
お伝えしていきます。
「正しさ」より「心地よさ」を基準にしてみる
「何が正しいか」ではなく、
「私はどう感じるか」。
一見シンプルなようで、
“ちゃんとしてきた人”ほど
難しく感じやすいテーマです。
でも、
誰かの基準に合わせた“正しさ”だけで動き続けると、
自分の感情が置き去りになっていきます。
「どう感じている?」を自分に問いかけてみる
まずは、
日常の中で
「私はどう感じている?」
と問いかけてみること。
たとえば──
・新しい仕事を任されたとき、
「やってみたい」と思えたか、「少し重い」と感じたか
・週末の予定を立てるとき、
「やらなきゃ」ではなく「やりたい」と思えているか
こういった小さな違いを意識することが、
“感じる力”を取り戻す第一歩になります。
「正しい選択」より「しっくりくる選択」を
「間違えたくない」
「期待を裏切りたくない」という気持ちは、
とても誠実な思いです。
でも、
誰かの基準に合わせた“正しさ”だけを軸にしていると、
自分の感覚がわからなくなってしまいます。
完璧でなくていいから、
「今日はこっちを選びたい」
「この方がほっとする」
──そんな“しっくりくる選択”をしてみる。
それが、
心とつながり直す練習になります。
「感じること」は、弱さではなく力
感じることは、
時に苦しいもの。
嬉しい、悲しい、悔しい。
そのひとつひとつが、
「自分は何を大切にしているのか」
を教えてくれます。
感じる力を取り戻すというのは、
“本当の自分”を
知っていくことになるのです。
「ちゃんとする」だけでなく、「感じる」ことも大切にしていい
“ちゃんとしてきた人”ほど、
外の期待に応えることで自分を守ってきました。
けれど、
ずっと「正しさ」や「期待」に合わせて生きていると、
いつの間にか“自分の心”の声が
聴こえづらくなってしまうことがあります。
満たされなさや違和感は、
「本当の自分を表現したい」
というサインです。
“正しいこと”より“しっくりくること”、
“ちゃんとする”より“心地よいこと”。
その小さな選択の積み重ねが
「私はこう生きたい」
と思う力を呼び覚ましていくのです。
最後に、もし今、
「頑張っているのに、なんだか苦しい」
と感じているなら──
まずは、
その違和感に気づけた自分を
そっとねぎらってあげてくださいね。
その気づきこそが、
“自分の心の声を聴きながら生きる自分”への
最初の一歩になります。
あなたのこれからのキャリアを、
人生を、
心から応援しています。
心理カウンセラー
矢菅まゆ
