こんばんは。
心理カウンセラーの矢菅まゆです。
疲れているのに休めない。
「そろそろ限界かも」と思っても、
もしここで力を抜いてしまったら
今までのようには、
頑張れなくなってしまう気がする。
そんなふうに感じている方も、
いるのではないでしょうか。
今日は、
そんな思いを静かに抱えてきた、
ある女性の言葉をご紹介したいと思います。

「一度休んだら、もう同じようには頑張れない」
前職でキャリアアドバイザーをしていた頃、
同じチームで働いたことのある、
後輩の女性がいました。
彼女はとても優秀な人で、
営業のプレイヤーとして第一線で活躍していました。
成果を上げるのはもちろん、
周りからの信頼も厚い。
自分を律しながら、
ストイックに働く姿が印象的な人でした。
そんな彼女の退職が決まり、
久しぶりに一緒に食事をしたときのこと。
その中で、
ふと彼女がこんなことを口にしました。
「一度休んだら、
もう同じようには頑張れないと思って」
その言葉を、
彼女は過去を振り返るように、
穏やかな口調で話してくれました。
けれどその声の奥には、
張り詰めたまま抱えていた
“何か”が、
確かにあったような気がしたのです。
彼女が、
そんなにも苦しい思いを抱えたまま、
自分にムチを打って、
毎日働いていたのだと思うと──
その事実が、
胸にずしんと、
まるでなまりが落ちるように響きました。
なぜ「休むのが怖い」と感じるのか?
なぜ「休むのが怖い」と感じてしまうのか?
「疲れているのに、
どうしても休めない」
その背景には、
さまざまな理由があると思います。
でも、
彼女のように
「一度休んだら、
もう戻れなくなる気がする」
という感覚は、
とても深いところで頑張り続けてきた人に、
共通しているように思います。
たとえば彼女は、
こんな働き方をしていました。
・平日は朝起きてすぐPCを開き、
出社前からすでに仕事モード
・出社後は当然フル稼働。
帰宅してからも仕事。
・日曜日の夜には、
当たり前のように
次の週の仕事の準備をしている
さらに、
誰かにすぐ頼るよりも
「自分がしっかりしなきゃ」
という姿勢が彼女から伝わってきました。
実際に成果を出していたこともあり、
周囲から頼られる場面も多かったのですが、
少なくとも私の目には、
彼女が誰かに甘えていた姿は、
あまり映っていませんでした。
他の人が「今日の業務が終わらない」
と嘆いているなか、
彼女は、
翌日の準備まできちんと済ませてから帰る。
しかも、
それは“たまたま”ではなく、
“いつものこと”。
──そんな人だったのです。
そのとき、
彼女はこんな話もしてくれました。
「もう2年くらい前から、
ここで頑張り続けるのはしんどいなと思っていたんです。」
「一時期は、
明け方まで眠れないことも多くて……。
明け方まで眠れないと、
さすがに次の日は疲れて眠れるんですけど、
またその次の夜も、
明け方まで眠れない……。
そんなことを繰り返していました。」
強い疲れを感じながらも無理をして、
それでもなお、
年単位で頑張り続けていた。
そんな彼女が口にした
「一度休んだら、
もう同じようには頑張れない気がする」
という言葉には、
きっとそんな日々の蓄積と、
止まることへの強い恐怖が
詰まっていたのだと思います。
緩めることは、終わりじゃない。自分を守る形を変えるだけ
彼女のように、
自分を律しながら、
ストイックに頑張ってきた人ほど、
「止まること」への恐れが、
心の奥深くに根づいていることがあります。
なぜなら、
ずっと気を張って走り続けてきた日々の中で、
立ち止まることは
「崩れること」「戻れなくなること」
あるいは
「もう二度と動けなくなること」と、
無意識に結びついてしまっているからです。
ずっと成果を出し続けてきた人ほど、
緩めること=自分の価値を失うこと
のように感じてしまう。
また、
止まったときに訪れる“空白”や“無力感”を、
避けようとしていたのかもしれません。
私はそんな彼女の話を聞きながら、
ふと、
あるイメージが浮かびました。
──まるで、
ずっとエンジンをかけっぱなしで走ってきた車のようだな、
って。
エンジンを止めたら、
もう次にどうやって再スタートしたらいいのか分からない。
エンジンのかけ方そのものを、
もう忘れてしまっていて、
怖い。
だから、
止まるくらいなら、
このままずっと走り続けたほうがいい……。
きっと彼女の
「一度休んだら、
もう同じようには頑張れない気がする」
という感覚は、
そんな状態に近かったのではないかと思います。
実は、
「走り続けていないと不安」
という状態そのものが、
無意識に、
自分を守るための戦略になっていたのかもしれません。
だから、
休めないのは意思が弱いからではなく、
「止まらずに頑張ることで、
自分を保ってきた」からこそ、
止まるのが怖くなるのです。
でも本当は、
緩めることや力を抜くことは、
終わりではなく、
「自分を守る形を変えること」
なのかもしれません。
今日からできる小さな一歩
でも──
そうは分かっていても、
「じゃあ、
どうやって緩めたらいいの?」
ととまどってしまう方も、
きっと多いのではないでしょうか。
頑張ることが当たり前になっていると、
休むことや力を抜くことは、
どうしても“特別なこと”のように感じられてしまう。
そんなふうに、
“緩めること”にもハードルがあるのが、
頑張り屋さんの特徴なのかもしれません。
だからこそ、
いきなり「しっかり休む」ではなく、
まずは“少しだけゆるめてみる”
ことから始めてみませんか?
たとえばこんなふうに──
・「今日もがんばったね」と、
自分にそっと声をかけてあげる。
・週末の予定を1つだけ減らして、
“空白の時間”をつくってみる。
・帰宅後すぐPCを開くのではなく、
できる限りゴロゴロして過ごす。
ほんの小さな行動でも、
自分の心や体が「ゆるむ」感覚を
少しずつ思い出していけます。
そして何より大切なのは、
「こんなふうに緩めてもいいんだ」と、
自分に許可を出してあげること。
止まることは、
なまけることでも、
崩れることでもありません。
それはきっと、
これからの自分を守っていくための
新しい選択になっていきます。
頑張ってきた人ほど、
「止まるのが怖い」
という感覚を持ちやすいと思います。
ずっと気を張って、
走り続けてきた人ならなおさら。
だから、
怖がりながらでもいいんです。
少しずつ、
力を抜くことを、
自分に許してあげてください。
あなたはそれだけ、
頑張ってきた人です。
「休んでも、
私は戻ってこられる」
そう信じられる日が、
きっと来ます。
それでももし、
今まさに
「走り続けていないと不安でたまらない」
「エンジンの止め方も、もう分からない」
そんな感覚の中にいるとしたら──
きっと彼女のように、
自分を追い詰めるまで
がんばっているのだと思います。
「このままじゃしんどいかも」
と感じている今だからこそ──
良かったら、
あなたのお話を聞かせていただけたら嬉しいです。
あなたのこれからのキャリアを、
人生を、
心から応援しています。
心理カウンセラー
矢菅まゆ