働き方・生き方に迷ったとき

会社を辞めたいのに辞められない理由と罪悪感の正体

こんばんは。
心理カウンセラーの矢菅まゆです。

 

会社を辞めたいと思っているのに、
どうしても決断できない。

そんな状態に長くとどまってしまう人は、
とても多いものです。

頭では“辞めたい理由”が
はっきりしていても、
いざ前に進もうとすると、
足が止まってしまう。

その背景には、多くの場合、
「会社を辞めること」への
罪悪感があります。

今日は、
その“罪悪感”がどこから来るのか、
そしてどう向き合えばいいのかを、
丁寧にひも解いていきたいと思います。

辞めたいのに辞められない、よくある3つの背景

① 職場での人間関係が良い、職場で良くしてもらった

人間関係が良い職場ほど、
「辞める」と言い出すのは勇気がいります。

育ててもらったお礼の気持ちや、
様々な場面で配慮してもらった経験があると、
「その人たちを裏切るみたいで悪い」
と感じてしまう。

特に、今の職場の人たちを
「良い人たちだな」
と感じている場合はなおさら。

相手を悲しませたくないという気持ちが、
決断をにぶらせてしまいます。

② 他者からの評価を重視しやすい傾向

「迷惑をかけたくない」
「期待に応えたい」

こういった気持ちが強くなればなるほど、
辞める選択に強い後ろめたさを感じます。

他者からの評価や周囲の反応を
気にしすぎてしまった結果、
罪悪感が膨らみやすくなるのです。

③ 自分の役割に対する責任感が強い

自分の役割に対する責任感が強い人ほど、
「自分の仕事=自分の存在価値」
のようになりやすく、
その役割を手放すことに強い抵抗感が生まれます。

仕事に誠実に向き合ってきた人ほど、

「ここで辞めたら、
自分の役割を途中で
やめてしまうことになるのでは……」

という思いが頭をよぎるのは、
自然なことなのです。

なぜ“罪悪感”がこんなにも強くなるのか

① 同調圧力によるもの

日本の文化の一つとして、
周囲と足並みをそろえることが
重視されやすい傾向があります。

そのため、辞める人が少なかったり、
人の入れ替わりが少ない職場では特に、
「辞める=協調を乱すこと」
と感じやすくなります。

これは、
決してあなたが弱いからではありません。

文化的な背景の影響で、
そう感じやすい土壌があるだけなのです。

② 「相手の期待や状況を読み取る力」が高い

人の気持ちや状況に共感できたり、
相手の立場を想像することが得意な人ほど、
他人の感情や状況に敏感です。

だからこそ、

「辞めたら困るだろうな」
「自分が抜けたら申し訳ないな」

と、“起きるかもしれない迷惑”を先回りして、
実際以上に大きく感じ取ってしまう。

これは、
やさしさの表れでもあります。

③ 自分の感情より“義務”を優先してしまう

「こうあるべき」
「やると決めたことは最後まで守るべき」

このような自分の中のルールが強くなるほど、
自分の本音を後回しにしやすくなります。

そして、

「今の職場を辞めるのは、
このルールを自分で破ることになる」

「ルールを破ることは良くないことだ」

と感じてしまい、
辞めたい気持ちがあっても
踏み出しづらくなるのです。

“罪悪感”の正体はあなたの「責任感の強さ」と「やさしさ」

結論から言うと、
あなたが抱えている罪悪感は
「弱さ」ではありません。

むしろ、
人を大切にできる“やさしさ”と
仕事に誠実に向き合ってきた
“責任感”の表れです。

ここでは、
その“罪悪感”の正体を、
あらためて整理していきます。

①辞めたい=わがままではない
価値観の変化、家庭の状況の変化、
身体の変化などに合わせて、
働き方を見直したくなるのは当然の流れです。

他の人は長く続けている職場でも、
あなたが「辞めたい」と感じるのは、
決してわがままではありません。

 

②罪悪感は“やさしさ”の裏返し
やさしい人ほど
「誰かを困らせたくない」と感じます。

だからこそ、辞めることに対して
高いハードルを感じるのです。

また、辞めることは、
今までの関係性を否定することでも、
恩を忘れることでもありません。

感謝は辞めた後にも持ち続けられます。

 

③「自分の役割を途中で
やめてしまうのは良くないのでは?」という思いについて

この疑問は、
特にまじめな人が感じるものです。

ここで何より大切なのは——
“その役割を、これからのあなたが続けたいのか?”

その役割を、
これからも続けたいと感じるなら、
続けていくのも一つの選択です。

けれども、
「これからも同じようには続けられないかもしれない」
そんな感覚がどこかにあるのなら——

「役割を変える」
という選択肢を持つことも、
あなたのこれからの働き方を考える上で
大切な視点になります。

罪悪感に振り回されずに、落ち着いて選ぶためのステップ

ここでは具体的に、
どうしたら落ち着いて選べるかを
お伝えしていきます。

・ “事実”と“想像”を分けてみる

辞めることで発生する手間や負担は、
確かにあります。
でも、その後どう調整するかは会社側の責任です。

「私が辞めた後、
大変なことにならないだろうか?」
という不安を感じるのは自然ですが、
そのすべてを、
あなた一人が背負う必要はありません。

これは、
前職のキャリアアドバイザー時代、
転職活動中の方に何度もお伝えしてきました。

「それは頭では分かっていても、
申し訳ないと思ってしまう……」
と思われたかもしれません。

それは、あなたが
“誰かの困り顔を想像できる人”だから。

“起こるかもしれない迷惑”が
想像できる分、

心が追いついていないのです。

これはやさしさの表れであり、
弱さではありません。

だからこそ、いったん紙に書き出して
「事実」と「想像」を切り分けて
目に見えるようにすることが大切です。

 

・ 辞めることのメリット・デメリットを冷静に書き出す

こちらも、罪悪感にのまれず、
事実ベースで考えるためのステップです。

・辞めた場合に得られるもの
・辞めない場合に続く状態

これらを書き出すことにより、
「本当は自分はどうしたいのか」が
はっきりしてきます。

 

・感謝は「伝え方」で示す

辞める=裏切り、ではありません。

辞めると伝えるときに、
これまでの経験や感謝の気持ちを丁寧に言葉にすれば、
あなたの誠実さは伝わります。

あなた自身の罪悪感を
すべて消すことはできなかったとしても、
「自分にできることはした」
と思えるだけで、気持ちは軽くなります。

今の会社を辞めるかどうかは、
あなたの人生の選択です。

その過程で罪悪感を抱くのは、
あなたの責任感の高さと優しさゆえ。

その気持ちを否定する必要はありません。

このように、
会社を辞めることに対する罪悪感をほどいていくと、
あなたが本当に大切にしたい
働き方が実現しやすくなります。

 

どんな選択でも、
あなたが納得できる形を、
ぜひ大切にしてほしいと願っています。

カウンセリングで、
そのお手伝いができれば嬉しいです。

 

 

あなたのこれからのキャリアを、
人生を、
心から応援しています。

 

心理カウンセラー
矢菅まゆ