“ちゃんとしなきゃ”が止まらないとき

限界なのに“まだいける”と頑張りすぎてしまう人が見落としていること

こんにちは。
心理カウンセラーの矢菅まゆです。

 

もう疲れ切っているのに、
ついつい“まだいける”と
自分に言い聞かせて踏ん張ってしまうーー。

そんな経験はありませんか?

今日は“まだいける”と思ってしまう、
自分に言い聞かせてしまう背景について、
一緒に考えてみたいと思います。

なぜ“まだいける”と思ってしまうのか

気づけば夜遅くまで仕事をしていたり、
体調が悪くても休めなかったり──。

「ここで止まったら周りに迷惑をかける」
「今頑張らなければ取り残される」

そんな思いから、
自分を追い立ててしまう人は少なくありません。

けれども、
限界を超えても“まだいける”と
思い込むことが習慣になると、

やがて心や体に大きなダメージとなって
はね返ってきます。

その背景には、社会的・心理的な影響や
脳と体の仕組みが関わっているのです。

・社会や周囲の大人の影響

日本の社会には、かつて
「努力は美徳」
「頑張ることは良いことだ」
という文化が強く根付いていました。

親世代やそれ以前の世代がその
価値観の影響を受けていることもあり、
私たちも自然とその価値観を引き継いでいます。

たとえば小さい頃から、
周りの大人に
「○○ちゃん、頑張っていてえらいね」
と言われ続ける。

そんな体験が積み重なることで、
気づかないうちに
「頑張ること=良いこと」
と思い込むようになっていきます。

その結果、
疲れていてもまだやらなければと思い込み、
“まだいける”と
自分を追い込んでしまうのです。

・性格的な傾向

責任感が強く、
周囲から「頼れる人」と思われるタイプほど、
限界を超えても踏ん張ろうとします。

「ここで休んだら迷惑をかけてしまう」
「自分が頑張らないと」──。

特に真面目や完璧主義といった性格傾向は、
“まだいける”を生みやすい下地になります。

・脳と身体の仕組み

一般的に、
強いストレスを受けたり危機に直面したとき、
体は“非常事態モード”に切り替わると言われています。

そのときホルモンが分泌されて、
心臓がドキドキしたり呼吸が浅くなったりして、
“まだいける”と感じやすくなるのです。

たとえばテスト前の徹夜や、
締め切り直前の追い込み。

「あのときは意外とできちゃった」
と感じた経験はありませんか?

それはアドレナリンが一時的に
頑張れるエネルギーを与えているからです。

 

本来なら、
自然界での天敵や危険に立ち向かう
“短時間の戦い”に必要なエネルギーですが、

慢性的に分泌され続けると、
心と体は確実に消耗していきます。

“まだいける”という感覚は、
実は錯覚に過ぎないのです。

“まだいける”を続けるとどうなるか

“まだいける”を繰り返していると、
心と体には少しずつ異変が現れます。

・疲れているのに眠れない

・突然涙が出てきて、自分でも理由が分からない

・それまで好きだったことや趣味に興味を持てなくなる

・慢性的な肩こりや頭痛が治らない

最初は、
本当にちょっとしたことかもしれません。

でも、
それを無視して
“まだいける”と言い聞かせていると、

気づいたときには動けなくなってしまう
可能性があります。

 

燃え尽きや長期の体調不良。

こうした状態に陥る人の多くは、
「まさか自分が、
ここまでになるとは思わなかった」
と言います。

つまり、
“まだいける”と思っているときこそ、
実は危険信号なのです。

“まだいける”から抜け出すために

では、
どうすれば“まだいける”のループから
抜け出せるのでしょうか。

・小さなサインに気づく

まずは、
自分の体や心が出しているサインに気づくことです。

・以前楽しめていたことが楽しめなくなった

・気持ちの浮き沈みが激しくなった

・夜なかなか眠れない

こうした小さな変化は
「限界に近づいているよ」
という体からのメッセージです。

・本当に“まだいける”で乗り切る必要があるのか考える

もちろん、
人生にはどうしても
踏ん張らなければならない場面もあります。

ただ、これまで“まだいける”と
自分を奮い立たせてきた場面の中には、

もしかすると
“そこまで気を張らなくても大丈夫だった”
こともあるかもしれません。

「十分誰かに頼むこともできたのでは」
「そのとき休んでも取り返せたのでは」

振り返ってみると、
“まだいける”以外の
選択肢があったことに気づけます。

私たちは“まだいける”を
乱発しすぎなのかもしれません。

・立ち止まる選択肢を持つ

“まだいける”と感じた瞬間に、
あえて一度立ち止まる。

「今は本当に“まだいける”で
乗り切る必要がある状況なのだろうか?」
と自問自答してみる。

「今回は“まだいける”を
発動させなくても大丈夫そうだな」

と思えたら、
一度止まって、
思い切って休んでみる。

それは決して弱さではなく、
自分を守るための大切な行動です。

“まだいける”を手放す勇気を

“まだいける”と思ってしまう背景には、
以前の社会の価値観や頑張り方のクセ、
そして脳や体の仕組みがあります。

けれども、
それに従い続けてしまうと、
後から取り返しがつかないことに
なってしまう可能性があります。

だからこそ、
“まだいける”以外のと選択肢を持つことは、
新しい強さなのです。

自然体で働きたい、
生きたいと願うなら、
まずは一度立ち止まってみることから
始めてみませんか?

 

ただ、
頭では分かっていても

「実際にどうしたら良いのか分からない」
「本当に休んで大丈夫なのか不安になる」

こともありますよね。

そんなときに役立つのが、
安心して気持ちを言葉にできる機会をもつことです。

カウンセリングはその手段ひとつ。

「頑張らなきゃ」という思い込みを手放し、
自分らしく働き、
生きる道を探すサポートになります。

 

あなたは、
これまで本当によく頑張り続けてきましたね。

これからは、
無理に頑張り続けなくても、
大丈夫。

立ち止まることで見えてくる未来が、
きっとあります。

 

 

あなたのこれからのキャリアを、
人生を、
心から応援しています。

 

心理カウンセラー
矢菅まゆ